ドラえもん のび太のワンニャン時空伝

![]() | 映画ドラえもん のび太のワンニャン時空伝/Pa-Pa-Paザ☆ムービー パーマン タコDEポン! アシHAポン! (2006/07/19) 大山のぶ代、小原乃梨子 他 商品詳細を見る |
藤子F不二雄が亡くなってからの作品で、
文句なしのナンバーワン
特に文句が思いつかない作品は、これくらい
原作として、一応、藤子F不二雄の「のら犬イチの国」というのがある
何気に、好きだった作品のため、
これに目をつけた段階で、なかなかやるな、とは思ってた
伏線の張り方とかは見事。
「ああ、そういうことやったんか」と思った。
比較的分かりやすいくらいに伏線は張られているんやけど、
どうせ原作の真似っ子やろと思い込んでいたため、ビックリした。
原作のオチが、実はそのまま、この映画のミスリードになっているとは。

のび太の見つめる建物。
あれは冒頭やラストに出てくる神殿で、
深く考え始めてしまうと、切なさのこみ上げてくる伏線となっている。
他にも、
その段階では意味の分からない冒頭のシーン。
ハチが時たま見る謎のヴィジョン。
ハチの出生の秘密。
ハチの苦手なもの。
伏線は分かりやすいほどにあるが、そういう映画だとは思っていなかったため、
すごく新鮮に感じられた。
原作をそのまま映画の中に組み込んでしまい、
しかも劣化コピーになっているという現状が続いていた中で、
ここまで話を作り上げることができたのは、スタッフの力。
藤子F不二雄の劣化コピーではなく、
自分達のドラえもんを作ろうという意欲が見えた。
何故なら、初めて藤子F不二雄の物語枠から離れて、
独自の世界観を、しかも見事に作り上げたものだったから。

のび太の町をキチンと描けている辺りに、スタッフの成長が窺える。
すごいと思ったのは、原作の要素すべてを、無駄にしていないということ
原作の最後に出てきた、滅びる寸前の都市や、謎の神殿、
のび太の彫像などのすべてに、意味を持たせている
それでなおかつ、全く違う話を作り上げたというのは、評価していいと思う

原作に登場する謎の神殿。
これを、「ワンニャン時空伝」では見事に物語と絡ませた。


原作とほぼ同じ、
ハチが宇宙船から地球を眺めるシーン。
しかし、そこに込められた意味や想いは、かなり異なっている。
そして、感動のシーンの後に、ちゃんと物語が続いたことに感動した
もうそこで終わると思ったのに、そこからが一番迫力あるシーンだった
あのカーチェースのシーンは、ネコジャラという敵の魅力をかなり増した

なかなかに魅力的な敵キャラ、ネコジャラ。
残念なのは、ズブの子孫に過ぎないため、動機が弱く感じられることか。
ズブの人間への憎しみの描きこみは、比較的しっかりしていた。

ドラ初のカーチェイスバトル。
迫力満点で、クライマックスにはふさわしかった。
もちろん、藤子のドラファンとして、文句をつけたいところもなくはないが、
明らかにそれを上回る努力が見えた
それに、大長編におばあちゃんを出してくるとは、なかなか驚いた

おばあちゃんからのび太へ、のび太からイチへ。
想いは受け継がれていく。
時を越える友情を描いた、
考えれば考えるほど壮大な話(ただし、イチの立場から考えた場合のみ)で、
その境遇に泣けてくる
最初のシーンに出てくる老人の強い気持ちが伝わってくる

ラスト近くの山場で、最初のシーンの意味が明かされる。
「長かった……」と呟く老人の姿に、心を揺さぶられずにはいられない。
待ち続けた者の心が強烈に伝わってきて、涙を誘う。


「時を越えて」というテーマは、
ラストにおいて、「世代を受け継いで」というテーマに帰結する。
旧声優陣の最後の作品として、申し分なかったのではないだろうか
ちなみに、主題歌は完全に「もしもし亀よ」
時を越える系に、実はすごく弱いです。
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